2024/01/10 17:49

初回からイレギュラーな紹介となり恐縮ですが、2023年のブリードではなく、2022年のブリード個体が今なお現在進行形で幼虫をやっています。つまり、2年1化に突入しているのですが複数年幼虫家業をすることになりますのでより大型の個体の羽化が期待できます。

さて、そんな2年1化の個体の故郷を先ずは紹介したいと思います。

広大な面積を誇る北海道では、ミヤマクワガタやノコギリクワガタの生息は、普通種として確認されていました。実際、私も知床半島で採集した貴重な野生個体の♀から採卵したこともあります。しかし、オオクワガタについては、道南部に生息しているらしいとかなりアバウトな情報しか入手しておらず、私にとってもまさに幻のクワガタとなっていました。
道南部の檜山郡に属する厚沢部町(あっさぶちょう)は、北海道南西部、檜山振興局南東部にある農林業を主幹産業とする町です。函館から車で1時間ちょっとの町です。


世界三大夜景の1つ箱館山の展望台からの風景(2023年9月初旬筆者撮影)

厚沢部町名の由来は、アイヌ語のようです。「アッ・サム(楡皮・のそば)」「ハチャム(桜鳥)」といった諸説があります。また下記の地図にある檜山振興局という区分けは、2010年に「北海道総合振興局及び振興局の設置に関する条例」が施行されたことで“総合振興局”、“振興局”という名称が使用されるようになりました。“振興局”と言う名称はかつては“支庁”という名称でしたが北海道庁の出先機関的存在で、広大な北海道の行政をカバーするために設置されています。他の県や自治体と異なり、広大な開拓地を支援するための仕組みなのですね。

北海道_檜山振興局(市町村)


檜山振興局は、奥尻町を含めた飛び地で函館のある渡島総合振興局に隣接している。

北海道_檜山振興局_檜山郡_厚沢部町

厚沢部町は、年間通して湿度が低く四季がはっきりとしており、暑さも寒さも適度で極端に暑くなったり寒くなることは少ない気候だそうです。北海道でも南に位置するために極寒という印象ではないという。津軽海峡を挟んで青森県とも隣接していることから、長い年月を経てオオクワガタも生息するようになったのかもしれません。


道の駅あっさぶ(2023年9月初旬筆者撮影)

総面積の 83% が森林、農業、林業を基幹産業とする純農山村で道の駅あっさぶでは、特産品のじゃがいものメークインやアスパラガスを買うことができます。道の駅あっさぶに隣接する土橋自然観察教育林(通称:レクの森)は、厚沢部町の南西部に位置する、面積約90ヘクタールの町有林です。ここには、自生北限となるヒノキアスナロ(ヒバ)や、自生南限となるトドマツをはじめ、約560種もの植物が生育しています。


晩夏の厚沢部町の様子(2023年9月初旬筆者撮影)

ご紹介する血統は、厚沢部町某所で灯火採集された2姫から採取された個体になります。ともに38mmの♀は、2022年7月27日の夜間に灯火で採集されました。本血統は、この持ち腹の2頭の♀からの累代となります。なかなか産卵を確認できずにいましたが、一昨年末にブナの産卵木からまとまった数が採取でき、ホッとしました。

2022年度の割出合計は、22頭でした。
・2022年12月28日 8頭(種親♀assW003800000000-001W)
・2022年12月28日 14頭(種親♀assW003800000000-002W)
うち14頭が羽化(♂6♀8★2)し、6頭の♂が2年1化に突入しています。余品としてSHOPに出品できるのは今春以降になる見込みです。


(つづく)